近年目覚しい展開を示すソフトウェア音源について触れてみたいと思います。
とは言え、ソフト自体が結構高額なので、懐と相談した結果、あまり多くは語れないと思いますが(笑)
Windyは現在、ピアノのものを主に使っています。
これは、もはやソフトウェア音源でなければピアノの音の感じにはならないことと、
他のソフトウェア音源よりもだいぶ扱いやすくなってきていることに起因しています。
こうした中から、折に触れて参考になりそうなことをしていきたいと思います。
・・・ピアノ音源聴き比べへ ※ご注意・・・ こちらにある音源はフリー素材ではありません。
試聴以外の用途にはお使いになれません。
シネマチック音源・・・ |
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■最近では、映像に使える効果音などの作成がしやすい音源が増えてきているように思います。 実際に、まさに「シネマチック音源」と呼ばれるものが出てきて、この世界が広がり始めています。 いままで音響効果の仕事をしているエンジニアが懐に忍ばせている(宝物の)ようなものが、誰でも手にできてしまう時代になったと言えるのでしょうか?今までの音源は、どちらかと言えば楽器で演奏することをシミュレートしたもので、楽曲として作ることを前提に手に入れたりしたのですが、 「音楽に深みを与える・・・」「簡単に場面に合った雰囲気の音を作る・・・」 こうしたことができる・・・これらFXがこれからの制作に重要な位置を占めそうです。そうしたわけで、一部紹介も兼ねて取り上げてみたいと思います。 |
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2011年3月3日 | |
エスニック音源 |
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様々な民族楽器と、美しい歌声が収録されたソフトウェア音源です。 民族音楽や楽器の勉強にも役に立ちます。 楽曲をフレーズごとに区切ったものをコラージュのように貼り付けて、いとも簡単にエスニックな音楽が作れてしまいます。 したがって、エスニック音楽に詳 しくなくともある程度のものはすぐに作ることができます。 歌声も美しいフレーズがたくさん。 ただし、ヴォーカロイドではないので、自由なメロディーを 作ることは難しい。 |
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まず音質が非常にすばらしく、かなり高度な使用にも耐えうるものが作れます。 たくさんの種類の楽器や演奏が含まれているので、この音源だけでもいろいろなものが作れそうです。 |
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サンプル・・・ ©Windy | |
静かなる鐘の音 | 仏教のお寺などで聴けるような鐘ですが、ピュアな音がします。 |
激しい銅鑼 | クレッシェンドする銅鑼の一撃 |
竹の楽器 | 水の流れをイメージさせる音が作れます。 |
アンビエントな歌声 | 下のOMNISPHEREを一緒に使ったヴォーカル音です。 |
シンセ音源 |
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トランス音楽の用途に対しては、かなりの厚みのあるものが作れるでしょう。 いろいろなサウンドを重ね、混ぜて独特な雰囲気に仕立てた音がたくさん収録されています。 | |
実は私が持っているのは、これの前作である「Atmosphere」なんですが、もう手に入りませんので、上はオムニスのほうになっています。いろいろな音を重ね合わせて、時間軸にしたがって変化する音が多く収録されています。 したがって、細かな音符による演奏をさせることよりも、ゆったりとした流れを作る方が向いています。 |
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サンプル・・・ ©Windy | |
きらきらしたサウンド | ベルの音などが入った音色が多いです。 |
ヒューマンブレスノイズ | 人間の呼吸音をシミュレートして特殊効果を作り出しています。 |
ピアノ音源聴き比べ・・・ |
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一つのMIDIデータからいろいろな発音音源で再生させてMP3に録音したサンプルです。 もちろん、それぞれの音源用に加工しなければ、まともな演奏にならない場合が多いのですが、 ご参考までにお聴きください。 曲はショパンのマズルカ Op.50, No.3 です。 元のMIDIデータはこちら。 |
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SC-8850 往年の名機。 互換性の高いMIDI作成環境と再生環境を提供してくれます。 近年のソフトウェア音源全盛の時代にあっても、そのコントロールのしやすさ と、ある程度の音質の確保で、まだまだ捨てがたいものがあります。 実際このファイルをお聴きいただけば、確かに薄めでは有りますがまぁそれなりに満足で きそうにお感じいただけることでしょう。 |
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VIRTUAL GRAND PIANO 2.0 味のあるピアノの音を聴かせてくれるソフトウェア音源です。 この手のソフト音源としては廉価なほうですが、そこそこ使えます。 ただ、ピアノのコンディションが古い感じで、整音も若干浮ついた感じで重みが出せません。 また、サスティーンペダルで音がたくさん発音された状態が続く と、「サー」というノイズが盛大に出てきます。 アタックも若干スローです。 使う曲によっては非常に味わいが出ます。 |
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これでしか出せない雰囲気を狙いたいときに・・・ 軽く、安定性が高いところも美点。 | |
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Garritan こちらはオーケストラ音源に付属のピアノです。たぶんSteinway。 若干荒っぽい音ですが、そこそこ作りこみで使えそうな感じ。 こちらもアタックが若干スローで、値段なりなのかもしれません。 ピアノのほかにもパイプオルガンや、クラシックに必要な楽器がほぼ入っているのでかなりお得かもしれません。 ただし、本格的になった場合には物足りなくなることでしょう。 |
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使える音が見つかることも・・・ | |
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ベーゼンドルファー・インペリアル 当サイトのピアノMP3のメイン音源です。 今まで、ベーゼンドルファーは使いにくかったのですが、バージョンアップされてだいぶ使えるようになって来ま した。 ただ、このインストゥルメントは、音場をPlayer側にして、平均律で再生させる必要がありそうです。 スタインウェイD9 このサイトでお聴きいただける多くがこれです。 伸びやかで、表現力が豊かで使いやすく感じています。 スピード感があり、非常にダイナミックな音が出ます。 ただ、リヴァーヴがあまり使えなく、音が薄く感じられることがあり、別途エフェクターを使う必要があります。 このスタインウェイは、ストレッチ調律がいい感じです。 |
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調整できる部分が非常に多く、また、演奏者側に立ったインターフェースの作り方など、好感が持てます。新バージョンになってから、ヴェロシティーレイヤーがより細かくなってコントロールがしやすくなりました。 | |
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ベヒシュタインB スタインウェイ 重量級のピアノ音源です。 3ポジションのマイクロフォンをリアルタイムにミックスして、好みの音場を作れるように考えられています。 ただ、非常に重く、これを動かすためには大変な苦労が伴います。 燃費が悪いソフトと言えると思います。 音はまずまずなのですが、結構ノイズっぽかった りと、案外いい加減な感じを受けます。また。ダイナミックレンジが若干狭めです。 ただ、使いこなせればコンチェルトもいい感じに仕上がるかもしれませ ん。 |
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音はそれなりに良いのですが、扱いにくいと感じられるかもしれません。インターフェースも若干煮詰めが足らない感じで、思ったようにセッティングができないと感じることもしばしば・・・ | |
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比較的低価格のソフトウェアピアノ音源ですが、結構使えそうです。 事細かにセッティングができるので、自分の好みのスタインウェイに作り変えることができます。 特に、調律のプリセットが19種類用意されていて、たとえ ばベルクマイスターやキルンベルガーなどの古典調律も試すことができます。 Ivoryがピアノに合わせなければならないのに対して、こちらは自分に合わ せてピアノをカスタマイズする感じです。 |
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サンプリングされた音の質は肌理が若干粗く感じるのですが、普通にスタインウェイの音にはなるので、これだけでもずいぶん可能性があります。 ただし、インストールが遅かったりKontact 4にもまだ若干の不具合があり、ソフトウェアにはまだちょっと問題があります。 低価格で扱いやすいので初心者にも向くのですが、音が出るまでがマニアックです。 | |
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使用したオーディオインターフェイス | |
Firewire (IEEE1394)を使ったオーディオインターフェースの中では、音質・安定性とも完成度の高いもので、DTM作業においても抜群の効果を発揮してくれるサウンドデバイスです。 マニュアルが分かりにくいのが玉に瑕なのですが、マイクプリアンプ部分もかなり優秀で、生録音にも活躍してくれます。 発熱量がかなりあるので注意。 |
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使用したソフトウェアリヴァーヴ | |
音声信号に残響を付加するソフトウェアです。 ハードウェアのものも使えるのですが、一旦録音したものに、後からゆっくり煮詰めてかけたいときに使っています。 |
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※以上は2010年11月現在。 |
VSTi とは?・・・
VSTとは、ヴァーチャル・スタジオ・テクノロジーの略で、スタインバーグ社が開発した規格です。
この規格はオープンにされて、非常に多くの開発メーカーがこれを取り入れました。その結果、ほとんどのシークェンサーなどのソフトウェアでこれを使えるよ うになりました。 このテクノロジーは、ソフトウェアのエフェクターをはじめ、スタジオで行われてきたあらゆるテクニックを1台のコンピューターでも実行 可能にすることができるというものです。
そして、このシステムを利用してソフトウェアとしてコンピューターにインストールすることで、演奏できる(発音できる)音源(インストゥルメント)が、これらVSTiやDXiといったものです。
VSTi を使うには・・・
これらはプラグインというスタイルを取っているため、利用するにはホストアプリケーションと呼ばれる、シークェンスソフトなどが必要になります。
そして、そのホストアプリケーションがVSTに対応できていることが必要になります。
基本的にはホストアプリケーションで作成しているMIDIデータのトラックに、ソフトウェア音源を利用するサンプラーソフトを挿入して、各MIDIトラッ クの出力先をこのサンプラーにつなぎます。 サンプラーでは、使いたい音色をインストゥルメントライブラリーなどからロードすることになります。
各音源のハンドリングレポート
ぼちぼちやる予定です。
聴き比べ2 リャードフ作曲 舟歌 作品44 (1898)
Ivory II Steinway D9 (MP3)
Galaxy Vintage D Steinway D-274 (MP3)
作曲家メモ・・・
ロシアの作曲家 Liadovは、ドビュッシーとほぼ同じ頃の人で、
神秘主義など、印象派とも思える作品を残しています。
サンプリングされた音の密度や伸びやかさは、Ivoryのほうが若干肌理細やかです。
特に低弦のずっしりした感じはIvoryのほうが有りますが、
全体として音が細めです。その分きれいには聞えますが、
ちょっと孤独な感じにもなりやすいようです。
Galaxyは調整が楽で、標準的なピアノの雰囲気にはかなり近い感じです。
また、調律法も様々に切り替えられるので、いろいろと楽しめます。
曲によってはかなりいけるところまでできそうです。
Galaxyはもともと持っているリヴァーヴが結構使えるので、そのままでもいける音になります。
Ivoryは後処理をしないと音が細いので、必須になりそうです。
ピアノ音源の問題点・・・
まず、どの音源も収録時のマイクロフォンの位置がピアノに近く、クラシック音楽向きではありません。
EWのように、3ポジションの音をミックスできるようなものも出てきましたが、
マイクポジションに問題があって、実用的ではありません。
結果として平板なピアノの音に仕上がってしまうことになりやすいです。
音場の幅をある程度変えられるようになったものも多いのですが、あまり効果的なものではなく、
擬似的にそんな雰囲気に収めるだけで、本当の音場を構築するには至れません。
この辺が現状の音源の問題点で、一向に解決する様子も見えません。
ピアノ音源の性能対価格面から・・・
さて、これらピアノ音源、現在だいたい2万円弱から4,5万円強程度と、単体のソフトウェアとしては結構値が張ります。 SC-88proがあれほど多く のインストゥルメントが入っていて3.5万円程度でしたので、それからすればかなり高額といっても良いでしょう。 でも、出てくる音が本物のピアノに近け れば、これらは数千万円もするピアノを所有できるということになり、めちゃくちゃお買い得ともいえるかもしれません。 私のように単独でMIDIデータを 走らせても、充分に実用的な音声を取り出せるわけで、可能性は十分に有るといってよいでしょう。
2010年12月8日