MIDIとMP3
いまさらながらですが、MIDIデータとMP3データの違いの話です。

【MIDIデータと音声データの違い】

 MIDIデータとは、演奏させるための情報を数値で記したファイルで、そこには音色の情報、音の強さの情報、音の高さの情報、テンポの情報、音の途中の情報などをメインに、音色の変化などの情報を更に加えて、演奏にリアル感を与えたものを記録した物といえます。
つまり、演奏を分解、分析したもので、そこには音声信号は含まれていません。
 そのデータだけでは音が出ませんので、音を出せるシステムに、このデータを送って、そこで再生させることで初めて音楽として生まれるということになります。

 MIDIには規格があって、それに準拠したものであれば大体の演奏は再生ができるだろうという期待がされるわけです。
しかし、その音は、再生する装置によって異なり、上等なものからおもちゃのような音まで、同じデータから生み出されることになるのです。
 そして、そのデータは固定されたものではなくて、ソフトウェア(シークェンサーなど)で開けば中身を書き換えることができます。
 つまり、MIDIデータとしては「未完成品」であり、演奏の途中の過程までを担う役割であると言えるでしょう。

 一方、MP3データは、音声信号そのものを記録した、録音媒体であって、固定された情報であり、音声編集ソフトウェアを使えば、音の大きさやピッチ、速度などはある程度は変更できますが、演奏そのものを変えることはできません。
つまり、これは「完成品」であると言えるでしょう。


【MIDIデータの過去と未来】

 さて、ここからは当サイトの立ち方の話になりますが・・・
MIDIデータもMP3データも両方公開しているわけなのですが、当初はMIDIデータだけを公開しているサイトでした。
 始まった頃は、まだネットの回線も細くて遅く、大きなデータの通信にはかなり時間がかかったり、サーバーも今と比べると極めて小容量であって、大きなデータをストックしておける環境ではありませんでしたので、MP3などの音声データも実用的ではありませんでした。(これは、今では動画がそうした問題で、YouTubeなどの利用が多いのはまさに同じ景色と言えそうですが。)
 そうした環境下にあっても、MIDIデータは極めてサイズが小さく、受け取った側の再生環境、つまりはローカルな環境で音を作り出せるので、非常に好都合で、そのために通信カラオケなどにも利用されてきた歴史があるわけです。

 こうして一世を風靡したMIDIデータではありましたが、時代が流れて、通信環境もデータストックの容量も飛躍的に拡大されて、完成品である音声データそのもののやり取りに支障がなくなり、サイズは小さいけれども音は受け取り手側に依存する、未完成なものをあえて利用する必要がなくなったわけです。
 完成品としての音声データとして公開する場合には、そのクォリティーがより問われることになり、それまでの再生音は「あなた任せ」の責任の逃げができなくなり、たとえばクラシックならば、よりいっそうの生演奏に迫れる完成度を達成する必要に迫られるわけです。


【MIDIデータが未完成品であることの強み】

 実は、これこそが今後の強みにもなりえます。
中身が演奏データだけであって、それを改変できると言うことは、自分の好みに更新できると言うことです。
 このカスタマイズが可能と言うことが、実は大きなメリットにもなりえます。
ただし、MIDIデータと言えども、作成者の癖がかなり盛り込まれているので、その改変は結構大変だったりもするのですが、その柔軟性は極めて大きな創造力の源にもなることでしょう。

 当サイトでは、音声データであるMP3をメインに切り替えたものに推移してきているのですが、MIDIデータの公開も続行しており、最近ではMIDIデータのニーズもかなり復活してきているのが分かってきました。
 これは、スマホのアプリが充実してきて、MIDIデータをスマホでも扱えるようになったり、一部ではありますが、自動ピアノに演奏させるデータとしての活用が垣間見えています。(ピアノ専用のページのヒット率が高くなった。)

 当サイトでは、データの二次利用には一定の基準を設けて、無料で利用できるようにしてきたのですが、それはBGMとしての利用が旧来からの中心でありました。
しかし、現状の環境の変化を考えると、MIDIはもはやBGMのツールではなくなってしまったので、その利用法については、今後に検討する課題を与えられたと思っております。
トラックバックURL
トラックバック一覧
コメント一覧
コメント投稿

名前

URL

メッセージ

- CafeLog -