MIDIとMP3
2021.11.28
いまさらながらですが、MIDIデータとMP3データの違いの話です。

【MIDIデータと音声データの違い】

 MIDIデータとは、演奏させるための情報を数値で記したファイルで、そこには音色の情報、音の強さの情報、音の高さの情報、テンポの情報、音の途中の情報などをメインに、音色の変化などの情報を更に加えて、演奏にリアル感を与えたものを記録した物といえます。
つまり、演奏を分解、分析したもので、そこには音声信号は含まれていません。
 そのデータだけでは音が出ませんので、音を出せるシステムに、このデータを送って、そこで再生させることで初めて音楽として生まれるということになります。

 MIDIには規格があって、それに準拠したものであれば大体の演奏は再生ができるだろうという期待がされるわけです。
しかし、その音は、再生する装置によって異なり、上等なものからおもちゃのような音まで、同じデータから生み出されることになるのです。
 そして、そのデータは固定されたものではなくて、ソフトウェア(シークェンサーなど)で開けば中身を書き換えることができます。
 つまり、MIDIデータとしては「未完成品」であり、演奏の途中の過程までを担う役割であると言えるでしょう。

 一方、MP3データは、音声信号そのものを記録した、録音媒体であって、固定された情報であり、音声編集ソフトウェアを使えば、音の大きさやピッチ、速度などはある程度は変更できますが、演奏そのものを変えることはできません。
つまり、これは「完成品」であると言えるでしょう。


【MIDIデータの過去と未来】

 さて、ここからは当サイトの立ち方の話になりますが・・・
MIDIデータもMP3データも両方公開しているわけなのですが、当初はMIDIデータだけを公開しているサイトでした。
 始まった頃は、まだネットの回線も細くて遅く、大きなデータの通信にはかなり時間がかかったり、サーバーも今と比べると極めて小容量であって、大きなデータをストックしておける環境ではありませんでしたので、MP3などの音声データも実用的ではありませんでした。(これは、今では動画がそうした問題で、YouTubeなどの利用が多いのはまさに同じ景色と言えそうですが。)
 そうした環境下にあっても、MIDIデータは極めてサイズが小さく、受け取った側の再生環境、つまりはローカルな環境で音を作り出せるので、非常に好都合で、そのために通信カラオケなどにも利用されてきた歴史があるわけです。

 こうして一世を風靡したMIDIデータではありましたが、時代が流れて、通信環境もデータストックの容量も飛躍的に拡大されて、完成品である音声データそのもののやり取りに支障がなくなり、サイズは小さいけれども音は受け取り手側に依存する、未完成なものをあえて利用する必要がなくなったわけです。
 完成品としての音声データとして公開する場合には、そのクォリティーがより問われることになり、それまでの再生音は「あなた任せ」の責任の逃げができなくなり、たとえばクラシックならば、よりいっそうの生演奏に迫れる完成度を達成する必要に迫られるわけです。


【MIDIデータが未完成品であることの強み】

 実は、これこそが今後の強みにもなりえます。
中身が演奏データだけであって、それを改変できると言うことは、自分の好みに更新できると言うことです。
 このカスタマイズが可能と言うことが、実は大きなメリットにもなりえます。
ただし、MIDIデータと言えども、作成者の癖がかなり盛り込まれているので、その改変は結構大変だったりもするのですが、その柔軟性は極めて大きな創造力の源にもなることでしょう。

 当サイトでは、音声データであるMP3をメインに切り替えたものに推移してきているのですが、MIDIデータの公開も続行しており、最近ではMIDIデータのニーズもかなり復活してきているのが分かってきました。
 これは、スマホのアプリが充実してきて、MIDIデータをスマホでも扱えるようになったり、一部ではありますが、自動ピアノに演奏させるデータとしての活用が垣間見えています。(ピアノ専用のページのヒット率が高くなった。)

 当サイトでは、データの二次利用には一定の基準を設けて、無料で利用できるようにしてきたのですが、それはBGMとしての利用が旧来からの中心でありました。
しかし、現状の環境の変化を考えると、MIDIはもはやBGMのツールではなくなってしまったので、その利用法については、今後に検討する課題を与えられたと思っております。
MIDIでオペラ
2021.11.18
MIDIでオペラを作るのはかなり冒険です。
言葉のあるもの、歌曲やオペラは、その表現が直接的であり、テンポもかなり柔軟なために、作成が非常に困難なものとなります。
しかし、実際に作って経験すると、クラシック音楽に求められる抑揚などの表現力を鍛えることもできてきます。

そんなわけで、時としてオペラをしてみるわけなのですが、なぜか蝶々さんを手直ししたくなり、直近でうんうん言いながら仕上げなおしておりました。



蝶々夫人 第2幕第1場はじめ~「ある晴れた日に」

実際にはアリアの部分がかなり有名なのですが、楽譜を見ていて、第二幕の初めから何となく入れなければならないような感じがして、苦労をするだろうけれど、それを作ってみることにしたのが今回お聴きいただくものです。

非常に情感豊かな内容で、心から吐き出される情熱というものを強く感じる内容でした。

しかし、やはり可笑しく感じられるのは「鈴木さん」の名前で、そもそもその頃は苗字ではなくて、名前で呼んでいただろうというのが日本人としては自然だろうと思うことです。
動画の独立
2020.09.05
動画公開の再考察

動画はサイズも大きく、また、公開性の観点からYouTubeを使うことを試みてきたのですが、一度アップロードしたものの更新ができなかったり(入れ替えることができないので、新規にアップロードする必要があり、そこまでの資産を引き継ぐことができない。)、事実誤認による著作権の侵害の申し立てを受けて対応に迫られるなど、他人のシステムを使う場合のデメリットもかなり強く感じられます。また、SNSの特性上、情報の垂れ流しに重きが置かれていて、アーカイブとしての有り方には不向きとなることも強く感じられるわけです。
SNSは、人々の流れがある場所にコマーシャルを垂れ流すスタイルに近く、美術館やコンサートホールにわざわざ出向いて楽しむスタイルとはかなり違ったことになるのでしょう。

そうしたことから、独自の運営方法を検討し始めています。
問題となるのはサイズについてだけということになるのでしょう。

ということで、実験を開始してみることにします。


イザイ作曲 こどもの夢 (121MBあります。)
ラヴェル作曲 序奏とアレグロ (284MBあります。)

なお、動画の作成には非常にエネルギーが必要となることと、サイズの問題から、自サイトで行えるものはまだまだ限定的となりそうですが。

なお、動画を独自に自サイトで利用する場合の方法を少しここに残しておくことにします。

①動画ファイルを用意する・・・
動画の形式は、私の場合にはmp4を使うことにしました。 これは、再生できる環境が多いからで、mp3と同じように扱うことができそうだからです。
サイズは、サーバーの容量と再生される環境になるべく合わせるように、編集ソフトウェアでオーサリングするときに決めますが、これは通信環境など今後のインフラの変更に伴って変わってくることでしょう。(YouTubeなどのSNSNのメリットは、受け手の環境に合わせてストリーミングの解像度を自動的に変更してくれるのは便利ではあります。)
②動画ファイルをサーバーにアップロードする・・・
アップロードする場所は任意で大丈夫ですが、パスが分かりやすくなる方が設置が楽になります。)
③HTMLページへの貼り付けタグ・・・
HTML5から、動画もシンプルに貼り付けることができるタグが用意されています。
<video src="動画ファイル名.mp4" controls></video>
これだけでOKです。 controlsを付けないと動画が再生できない環境があるので、私はこれを付けますが、この方がユーザーフレンドリーとも言えるでしょう。
また、autoplayを付け加えると、ページを開けば動画の再生がスタートします。

以上でページに貼り付けができますが、ブラウザーのサイズによって動画のサイズを自動的に変更させないと、大きな動画が画面からはみ出たり、横スクロールが必要になったりと、使い勝手に問題が出てしまいます。
そうした場合には、スタイルシートに次のような記述を加えることで、自前の動画も自動的に画面にフィットさせることができます。
video{
max-width: 100%;
height: auto;
width /***/: auto; 
}

以上、参考情報。
スクリーン・レコード
2020.08.23
MIDIデータをBGMに利用したスタイルで始めた当サイトでしたが、ある時期から急にMIDIの利用に対してネット全体が冷たい扱いになり、当サイトも存亡の危機に直面してしまったわけなのですが、なんとか存続を模索する中で、動画としての公開を模索した時期があります。なぜなら、MP3での音声データとしての公開にはまだその時点では難題があって、それは、HTMLの中でEMBEDを利用することができなくなったことに起因しています。
幸い、HTML5の規格で、音声データを貼り付けるタグが新たに作られたために、そちらに入れ替えることで現時点に至れたのですが、もしそれすらできない環境の場合には、せいぜい動画に頼らざるを得なかったことでしょう。

そんなわけで、一時期盛んに動画を作成してきたのですが、この作業はそれなりに楽しくもできる行為ではありますが、やはり作成にはかなりのエネルギーを必要とします。
そして、動画のBGMとして利用した場合には、YouTubeでもFacebookでも、第三者の音源データの盗用を疑われて、いちいちその嫌疑に対しての異議申し立てを行う手間が大変であったり、音声を勝手にミュートされてしまうなど、事実誤認による作成者への名誉毀損が横行してしまう事態に直面することになってきてしまいました。
そこで、自分で作成したデータからのものであることが一目瞭然となるものを作る必要に迫られてきたわけです。
そして、このようなシークェンサーの動作をキャプチャーしたものを作ってみることに思いが至ったわけです。

これはこれで、作成の裏側を垣間見れるツールにはなるので、存在する意義も感じるわけなのではあります。


ショパン マズルカ 作品59の3
ドビュッシー 雨の庭
ショパン 革命のエチュード
ショパン 幻想即興曲
ベートーヴェン 悲愴 第三楽章
チャイコフスキー くるみ割り人形小序曲
フランクのヴァイオリン・ソナタ I
ヨハン・シュトラウス こうもり序曲
チャイコフスキー 白鳥の湖 第一幕 No.2 ワルツ
チャイコフスキー 白鳥の湖 II No.13 V Pas d'action
チャイコフスキー 弦楽セレナード ハ長調 II ワルツ
ドビュッシー シレーヌ

いずれにしても、他者の介入が無い状態での落ち着いた運営を、MP3によって続行できる状態になれたことは幸いなことではあります。
また、スマホでもMIDIデータのニーズが復活しつつあるようにも見えるので、それはそれで喜ばしくもあります。
LPレコードが楽しかった頃
2020.08.09
コンサートなどの生演奏を聴けるチャンスがなかなか無い環境の場合、レコードで音楽を聴くことがほとんどでしたので、その頃の楽しみ方を思い出しながらギャラリーページを作っています。

まずはジャケットからレコード盤を出し、ターンテーブルに乗せて回し、レコード針を落として静かに待つ。
演奏が始まると、ほっとした瞬間がおとずれ、おもむろにジャケットを見たり、解説文を読んだりする。

こうしたアナログな楽しみ方が、何時の間にかどこかに遠ざかってしまい、ゆとりを持って音楽を聴く時間がすっかりなくなってしまっているように感じられてなりません。

そうした中で、アナログな雰囲気を少しでも残してみようという実験的な試みもあって、ギャラリーページを改めて見直してみることにしました。

各作曲者別に用意したページのリニューアルを進めています。
しかし、ライブラリーとしては、まだまだ曲数が足りないなぁと、つくずく思うわけなのですが、音楽を作るというのはかくも時間がかかり、このように長年に渡っても、まだまだ大変であることに愕然とするところでもありますが、随分と前に作ったものであっても、そんなに古さを感じることも無いのが、またこの世界の素敵なところにも見えております。

ギャラリーページ
ヴァイオリンを鳴かせる苦労
2020.05.04
DTMで単独の楽器を上手に鳴かせるのは至難の業なのですが、とりわけ弦楽器は難しく、外部音源では本当におもちゃの音になってしまってまったく使い物にならなかったのですが、ソフトウェア音源でならそれなりにできるところまでになりました。
専用の音源も色々と売られてきたわけなのですが、それらはみな高価で、本当にそれらしく出来上がるかどうかもやってみなければ判らない状態での投資はかなり冒険となってしまいます。
そこで、オーケストラ音源に付属のもので試してみて、どの程度の仕上げにできるかという実験に入るわけなのですが、その成果をここで少し紹介してみることにします。


イザイ作曲 子供の夢
GARRITANのパーソナルオーケストラに入っているもので、ストラディヴァリとガエルネがあり、これはガエルネのものです。
この音源には面白いことに、アップボウ・ダウンボウの音色が用意されていて、キースイッチで切り替えることができます。
そこで、これにもそれを用いてみることにして、楽譜の記号のとおりにやってみることにした結果がこれです。
音色にはもちろん完璧には行かないもどかしさはありますが、これはこれでそんな雰囲気は出せたように思います。

フランク作曲 ヴァイオリン・ソナタ 第一楽章
これはMiroslav Phill Harmonikに入っているヴァイオリン・ソロの音色を使ったものです。
Garritanと違って、キースイッチによる音質の切り替えはできませんが、音色的にはこちらのほうが「それらしく」聴かせることができそうです。

チャイコフスキー作曲 「白鳥の湖」 第二幕 No.13 V Pas d'action
こちらはオーケストラ曲の中に登場するソロパートですが、これもMiroslav Phill Harmonikのヴァイオリン・ソロを歌わせてみています。
一緒にチェロもソロで登場して掛け合いをしますが、こちらは音色がいまひとつという感じではあります。
コンサートホール・イオン
2019.10.15
2001年2月後半に作成した、音声ブラウザーをターゲットにしたバリアフリーのページがあります。
「コンサートホール・イオン」と命名して、MIDIをBGMとして目の不自由な方にもお楽しみいただけるように試みたページでしたが、すでにMIDIをBGMとして利用したものが廃止されてしまいましたので、そのまま終了させようかと考えておりましたが、思いなおしてMP3での試聴に切り替えて再公開しなおしました。

シンプルに試聴に特化したページになっています。

コンサートホール・イオン
サイト移転中
2019.09.16
いつもMIDI CLASSICSにお越しいただきありがとうございます。

時代の流れで、いよいよサイトを完全に移転する必要に迫られました。
これまで・・・
1.MIDIの排斥の危機・・・
2.音声の扱い方の急変・・・
3.スマホの台頭によるページ改変を迫られる・・・
4.セキュリティー警告の多発による暗号化への切迫・・・

などなど、色々な苦労を経験されられてきましたが、その都度現行のサーバーでできることはして参りました。
しかし、メインで使用しているサーバーは契約がサブドメインのもので、容量も小さく、ルートに必要なものを置くこともできずに、ついに時代遅れになってしまったと判断しました。

そこで、これまでにもMP3ファイルを置いてきたサーバーに全面的に移動することにしました。

もう既にこのページは新しいサーバーで書いているので御気付きかもしれませんが、新しいアドレスは全て https://windy-vis.com にて展開して参ります。

現在ほぼ全てのデータを転送し終わっており、動作テストを行っております。
また、ほぼ使われなくなったページやコンテンツの削除終了もしております。
今現在、MP3が中心のページでは、これまでと同様に動作ができていることを確認しましたので、問題が無いものの切換えを順次行っております。
ただし、MIDIを貼り付けたページは動作ができずに、その原因を探っておりますが、現状としては復旧は難しそうです。
今現在、スマホでは完全に動作ができませんので、ほぼMP3でのページが主体になっておりますので、最終的には止む終えずにMIDIでのページは動作ができない可能性が高いかもしれません。
ただし、MIDIデータの展開は素材としてはこれからも利用可能ですので、現行の通り公開を続行して行く所存です。

誰もが安心してゆっくりと滞在していただける場所、ネットの上でもそのような場所の構築に努めてまいりましたが、そのためには滞在者に不安を抱かせるようなものはなるべく排除したいと思っております。

引き続き当サイトを宜しくお願いいたします。
プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」
2019.06.29
1999年に作成したMIDIデータを手直ししてMP3にしました。
今回は、作成時の苦労と新たに手直しした時の苦労話を少し。



ロメオとジュリエット 導入曲
MIDIデータを作成し始めた当初から、このチャーミングな曲を作ってみたくて、楽譜を探しまくりました。
しかし、ミニチュアスコアは組曲のもののみで、この曲も含まれておらず、やっと見つけたバレエ全曲版のスコアを大金(?)で購入し、憧れのこの曲を作ることができたわけです。
もちろん、組曲版のミニチュアスコアも手にしていたので、他の曲もスコアの違いなどを確認したりもできました。

プロコフィエフの場合には、すべての楽器が移調楽器としての記述ではなく、スコアの音はそのままで打ち込めるためにかなり楽な作曲家かもしれません。しかし、独特の旋律回しや移調があるので、正しい音がそれであるのか?悩まされることもよくあります。
また、「少しだけゆっくりさせる」のさじ加減がかなり難しく、その部分だけでも相当悩んで何度も入れなおしを行ったりもしました。

この曲は、早い時点から手直しをしたために、まだソフトウェア音源に慣れておらず、SC-8850を基調としたデータになっています。

ロメオとジュリエット 少女ジュリエット
導入曲を作って後に、下に出てくる「マスク」と「騎士たちの踊り」を作成するつもりではいましたが、この「ヤング・ジュリエット」をしたのは、単に短めで作成しやすそうに思えた、いわば不順な動機(?)からでした。
活発で元気なお嬢さんの様子が良く現されていますが、同時に、自分の居場所に少しの不安を抱く、大人びた一面も含まれた曲でした。

ロメオとジュリエット マスク
仮面舞踏会なのでしょう。おどけたり、不思議なムードに包まれた、怪しげで楽しい曲です。
バレエ版では最後に次へのつなぎの部分が加えられていますが、組曲ではカットされてシンプルにマスクのシーンだけにされています。ヴァイオリンの音も若干の違いがあります。
ここではバレエ版を入力してあったので、主にそれを使い、最後の部分をカットして仕上げています。

ロメオとジュリエット 騎士たちの踊り
威風堂々の騎士たちが入場して来る、威圧的なムードがある曲です。
組曲版では前後に別の音楽が繋げられていて、これのみはバレエ全曲版でしかなく、ソフトバンクのCMにこの曲が使われてしばらくは、当サイトにある、この曲のみを求めてずいぶんとたくさんの来客を記念していました。

ロメオとジュリエット マドリガル
短くて美しい曲。
これも単に短いから作ってみようかと思ったものでしたが、しなやかに歌わせるのがとても難しく、ローランドの音源では響きの美しさまでは再現できずにおりました。
ソフトウェア音源になり、かなりそうしたもどかしさは、改善されたかな?

ロメオとジュリエット バルコニーのシーン
この曲をやるのは勇気が要りました!
派手な曲をするのは、実はかなり苦手で、金管軍が唸るようなものは実はかなり気が引けていました。
というもの、やはり音源の金管楽器は腰が軽くて、特にトランペットがクラシック向きではなかったからでした。
ソフトウェア音源によって一番ありがたかったのは、実はまともな音がする金管楽器にできそうな気分になれたことかもしれません。

ロメオとジュリエット 百合の花を手にした娘たちの踊り
これも短めで個性的な、なんともいえないムードが背中を押しての作成です。

ロメオとジュリエット ジュリエットの葬式~ジュリエットの死
これはバレエ全曲版でしか作成できないものです。
最後の幕がすべて入っています。
しかし、ソフトウェア音源への置き換えが大変すぎて、まだSC-8850のみでの音になっています。

全体にMIDI化する場合の苦労は、MIDIデータとして互換性のあるものにするためには、16チャンネルに納める必要があって、すべてをスコア通りの配置ができないことです。
おまけに10チャンネルは打楽器に割り当てられているので、打楽器が出てこない曲の場合にはさらに1チャンネル減少してしまいます。(ソフトウェア音源なら互換性を無視できるので、好きなだけチャンネル数を増やすことができます。)
たとえば、ソロ楽器が出てきたりする場合には、その時にお休みしている楽器のパートに入れ込んだりしていて、MIDIデータの場合にはそれをパッチチェンジで繋ぎ換えて音を出したりもしています。
また、管楽器も、たとえばバスクラリネットのパートを分けることができない場合には、やむを得ずクラリネットに入れ込んでしまったりもします。それでも一応低い音も出るので、音色には目を瞑れば一応そこに音が出るので、妥協点としては仕方がないところでの仕上げとします。
それが、ソフトウェア音源になると、その楽器の音域だけしか音が出ないので、せっかくまとめたパートを、それぞれの楽器用に再度分ける作業が必要になるわけです。
しかし、結果はかなり改善できるので、これも苦しみながらも楽しい苦労(?)といえるかもしれません。
音符を置いただけで分る作曲者
2019.05.09
音符をただ置いただけでその曲が誰の作品であるのか分ってしまう作曲者の代表は、やはりベートーヴェンやショパン、モーツァルトといったところが直ぐに思い浮かびます。
特にベートーヴェンは音を出せればそれがベートーヴェンの曲らしく聞こえてしまう代表ではないかと思えます。
そして、特にピアノの場合にはMIDIで作ったものでもそれなりになってしまい、ベートーヴェンの曲を録音した音源との差異が少なくなってしまう可能性が高くなります。

ベートーヴェンは1770年に生まれ、1827年に没していますので、すでに全世界で著作権が消滅しています。
ベートーヴェンの作曲作品は現在では誰でも自由に演奏し、録音し、公開できることになっていて、それらをおこなっても権利関係に対する対価を支払う当てが消滅しています。
しかし、録音物などの音源にはそれを収録した時点で「演奏」「録音」などの、著作物に隣接した権利が存在するので、それらの音源を二次利用(収録した作品の本来の利用目的以外の利用)する場合には、音源の所有者に対して「原盤の二次利用の許諾」と使用料金の支払いが必要になることがあります。

しかし、これらの権利への理解がいまだに低いらしく、ネットなどの動画などに使用して公衆送信をおこなってしまい、権利の侵害をしてしまうケースが後を絶たないようです。

YouTubeやFacebookなどの動画を扱えるサービスでは、こうした権利の侵害に対してシビアになってきていて、動画に含まれる楽曲を自動的に判定して、著作権の侵害が無いかどうかを抽出する試みをおこなっている様子です。
しかし、これらのプログラムはまだまだ正確さに欠けているらしく、当サイトの作品でもしばしば著作権(正確には音源の不正使用)の侵害を疑われてしまうことを経験します。

特にベートーヴェンのピアノ曲は良く「引っかかる」様です。
それは上記に記した様に、音符を置いただけでもベートーヴェンと分るシンプルさ、コンピュータで作ったものと生演奏との差異が少ないことが原因となっている可能性があります。
もちろん、生の演奏と見間違えるほどのものであれば、それはそれで作ったものとしては冥利に尽きるとも感じるわけではありますが、人間が一度聴けばそれぞれが違うものであることは歴然と分るであろう程度ではあるだろうと思えるわけです。

YouTubeでは、最近になって判定プログラムが進化したのか、はたまた著作権侵害に対する申し立てに対しておこなったカウンター異議申し立ての数の多さからか、ほとんど申し立てられることがなくなりました。(もっとも、これらを収益化した場合にはより厳しく申し立てられる可能性は高いとは思われますが。)
Facebookでは最近になってより厳しくなってきました。
疑いがあるものはその場で即ミュートしてしまい、解除には異議の申し立てをおこなった後に、権利者を名乗る者の調査が行われるまで待たなければならなくなりました。
しかし、これらが事実誤認であった場合の謝罪等は一切ありません。
これは逆にこちらの作品に対する「著作権の侵害」であり「名誉を毀損する行為」であるので、こうした不義はけしからんと思うわけです。

現在の判定プログラムが著しく発展を遂げて、音源の識別の精度を格段に上げる必要があり、そうすることによってインターネットの自由度の担保を約束して行かなければ、この世界が一定の勢力によってコントロールされてしまう恐れを強く抱いているところです。

良く誤判定されるベートーヴェンのピアノ曲のMIDIシークェンサーの動作画面を載せておきます。

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