クラシック音楽をMIDIで作ってみよう!
2019.03.03
クラシック音楽をMIDIで作ってみようとするときの手順を少し紹介したいと思います。
ここでは、マウスによる音符の入力による作成方法で、使用したシークェンサーは古くて機能が限定的なCakewalk Music Creator 4 という廉価なものですが、これでも十分に作業ができるものです。 他のシークェンサーも同じようなものですから、少し違うところもあるかもしれませんが、基本的には同じことをすると思います。

まずはシークェンサー画面。

譜面入力やらピアノロールやらテンポ入力やらイベントリストなど、さまざまな調節するためのウィンドウが用意されています。

まずはトラックとチャンネルの割り当て。

トラックに楽器を配置します。

次にそのトラックに出力先を設定して、音が出るようにします。
ソフトウェア音源を使う場合にはここでソフトウェア音源をロードする必要があります。

ソフトウェア音源のプレーヤーを表示してインストゥルメントをそのプレーヤーで取り込みます。(プレーヤーを表示させるには、この画面の場合にはトラック33をタップして、左側の黄色い枠をダブルクリックするなどします。)

次にシーケンサーのトラックの出力先を設定します。

ここでアウトプット、チャンネルを選択します。通常のMIDIデータとして作成したいときには、右側のバンクやパッチで楽器を選択します。

これで音が出る準備ができました。
いよいよ音符の入力ができるわけです。
音符を入力するために、楽譜を出さなければなりませんが、それは次の画像のように出します。

トラックを選択して表示から「譜面」を選ぶと出てきます。
譜面が表示できたら、いざ音符を置く作業を始めます。
今回は、チャイコフスキー作曲の「白鳥の湖」から、四羽の白鳥を参考にしてみます。


音符が打ち終わったら、必要なトラックを選択してピアノロールを表示させ、音符の長さ(デュレーション)、音の強さ(ヴェロシティー)、弦楽器や管楽器などで伸びた音の中で音の大きさを連続的に可変できるエクスプレッション(コントローラーの11番か12番(Miroslavの場合))が調節しやすくできます。
(音符の上を個別に一個一個右クリックしてプロパティーからも調節できますが、それはとても大変な作業になります。)


次にテンポを調節します。
クラシック音楽の場合には、特にこのテンポ情報が重要で、それらしくするための鍵になってきます。


数値でできると細かに調節が可能ですのでイベントリストの表示を参考まで。


こうして完成させていきます。
実際にMIDIシークェンサーを走らせた画面を参考まで。


白鳥の湖 第一幕冒頭のワルツ
2019.03.03
チャイコフスキー作曲のバレエ音楽「白鳥の湖」から、冒頭のワルツ



※組曲版でも2 Valseで載せられていて、バレエ版と全く同じものです。

この曲はいずれ作るつもりでいました。
ただ、音符数も多く、ページ数も多い大掛かりな曲なのでなかなか手にすることができなかった。
しかし、近郊に白鳥(小白鳥がほとんどですが)が近年飛来してきて飛び回り、今年には1500羽を超える白鳥たちがやってきているのを見て、この白鳥たちがいるうちに「白鳥の湖」から何曲か作ってみる気が起きてしまいました。
そこで最初に手がけた新作は冒頭の幕開け部分の曲で、既に作ってあった序曲に繋げることをしました。
「白鳥の湖」序曲から冒頭の幕開けシーンMP3

冒頭のシーンも壮大で、これができれば次のワルツを作ってみたい衝動が大きくなったわけです。

打ち始めてみると、繰り返し部分がそっくりそのままコピペできるので、意外にとんとんと打ち込みは進み、仕上げに打楽器軍を入れて派手な音楽とすることができました。
なお、音はほぼソフトウェア音源であるMiroslav Philharmonikのもので、打楽器はSC-8850のものです。

チャイコフスキーのワルツも優雅で、この曲のほかにもActe II No.13 白鳥たちの踊りの1曲目として登場するワルツもお気に入りで、これは組曲版にないために、それが作りたくて高価なバレエ全曲版を購入する切欠にもなりました。

Acte II No.13 I Valse MP3


※飛び回る白鳥達と溜池でのシーン

チャイコフスキーの「白鳥の湖」から
2019.03.03
チャイコフスキー作曲のバレエ音楽「白鳥の湖」から、Acte II No.13 V Pas d'action




この曲はヴァイオリンとチェロのかけあいが美しく、かなり自分のお気に入りの曲で、子守歌代わりに聴いていたものでした。
MIDIで作成してみたいと自然に思いましたが、MIDIの音源ではそんなにロマンチックな音が出ずに、苦労してピッチなどを弄りそれなりに仕上げていた記憶があります。 これ以上はいくらやっても音源がこれでは仕方がないという、諦めモードでずっと放置していました。
近年、そこそこ使えるソフトウェア音源が手に入り、色々とソロ楽器を歌わせてみた結果、フランクのヴァイオリンソナタでそこそこ使えそうな感じになれたので、この曲の手直しをする気になったのでした。


なお、最初のデータを作成したのは2001年で、最初に有名な「情景」を作り、しばらく後に数曲作成したのですが、それは例の911テロの後で、何もかもが空虚になってしまっていた時期に何かしたくて、音楽に逃れるような気持ちで音符にかかっていた記憶があります。


当初は組曲版のミニチュアスコアから、4曲目のScene(情景)として載せられているものからの打ち込みでしたが、エンディングが私の親しんでいたものとは違って、突然物寂しくポツンと終わってしまうものでしたので、自分で記憶を頼りにアレンジしたもので締めくくっていました。
その後バレエ全曲版のスコアを手に入れてあり(高価でしたが)、最近その中から作ったものが数曲でき、それをMP3で公開すると、どうしてもこの曲のできの悪さが気になってしまい、手に入れざるをえない心境になりました。


当初は全面的に打ち直すことを考えましたが、古いMIDIデータをシークェンサーにロードしてみて、ソフトウェア音源をあてがって演奏させたところ、そこそこ手直しが利きそうな感じでしたので、最後の部分を付け加えて仕上げることにしました。
作成時のワークファイルは残念ながら壊れたHDDの中に入っていて取り出せないため、MIDIデータとして残っていたものからでしたので、移調楽器をそのままのトラックに追加することは難しく、新たなトラックにセッティングすることで解決させました。
ただ、スコアに書かれている情報はかなり音の位置が違っていて、MIDIシークェンサーの上を半音上げたり下げたりしながら置いていったものです。

作ってみると、バレエ版のエンディングはちょっとお茶目で、デュオの踊りの後に大勢が取り巻いて出てくるシーンが想定されているような感じです。
ショパンの幻想即興曲
2019.03.03
革命のエチュードが作成できたので、音符の多さがやや気にならなくなり、ずっと楽譜たちの間に挟まっていたこの曲のシングルスコアを引っ張り出して作成することにしました。



この曲の場合には縦にだぶる音が少ないので、譜面どおりの入力をおこなってみて、不都合が出たら分るつもりで入力を始めましたが、結果はト音記号とヘ音記号のシンプルなものになりました。

演奏されるのを聞くチャンスも多い名曲の一つですが、どのように味付けして行くのか? 初期状態でパソコンから流れる機械的な音楽を何度も何度も聞いてみて、テンポ、ヴェロシティーを味付けして行き、ペダルを入れてこんな感じに仕上がりました。
この曲もペダルが難しいので、革命のエチュードと同じようにハーフペダル、リペダリングを利用してペダル情報をドローしています。

なお、曲に似合うような映像を作ることもしてきましたので参考までに載せておきます。
これらはギャラリーページを中心に展示しています。


ショパンの「革命のエチュード」
2019.03.02
ドラマなどでも盛んに使われたりする特徴のある曲です。




これは3段構成にしました。
左手が動き回り、右手は刺激的な音を叩いているわけですが、中心となる音はオクターブで刻まれていて、そこに内声が加わっているのですが、この内声を同じようなヴェロシティーにしてしまうと強くなりすぎて音が濁ってしまいます。
それを回避するために、内声だけを分けたやり方になっています。


そして、これのペダルはとても難しく、単に踏んだり放したりでは音が濁りすぎたりドライになりすぎたりしてしまいます。
そこで、ここでのやり方はエクスプレッションのようにドローしてしまうもので、ソフトウェア音源であるGalaxy Vintage Dの機能の中に「リペダリング」「ハーフペダル」があることを利用したものです。
MIDIデータとしては無駄にサイズが大きくなってしまいますが、音声データとしての仕上げが目的であるならば、こうした結果オーライも可能になります。


※なお、この動画をYouTubeにアップした途端に「著作権侵害」を申し立てられ、それの解除のために係争中となっております。
「画面を見てから物を申せ!」と言いたいところであります。
ドビュッシーの「雨の庭」
2019.03.02
2018年の3月に作成したもので、音符がたくさんのピアノ曲を手がけ始める切欠になりました。




作成は4段としています。
これは、中心となる音の流れを取り出して調整しやすくするためで、感覚的な作業が効率よくできるようになります。


具体的には下に見えるピアノロール画面で、マウスでヴェロシティーを撫でて調整するときに、かぶった音をいちいち調整しなおす手間が省けることと、メロディーラインをより自分の好みに調節しやすくなります。


楽譜のとおりに打ち込めているのか? 判断を十分におこなう必要がありますが、難しい場合には、一度音符を楽譜どおりに置いたトラックを作ってしまい、それを複製してからそれぞれの余分な音符を削除するということも考えるわけです。
いずれにしても手間隙がかかる作業ではあります。
ワードプレスをぶっとばせ!
2019.03.02
この手のページは、実は既にワードプレスを使ったものを用意して、そちらでする予定でしたが、そちらではあまり進展せずに、個別なコンテンツとしてもっと気軽に展開できるスタイルを望んでいました。

ブログだけなら既存の無料サービスを使う手もありますが、そこでは私の危惧が残ってしまうので実行しかねてしまいました。私の危惧とは?


  1. 個人情報を含むさまざまな情報を第三者に抜き取られる恐れ。

  2. いつ終了してしまうか分らない場所にデータを置いた場合、引越しが非常に大変になること。

  3. 広告などが勝手に貼られてしまい、自分の意図したものとは違った環境になる。


などなど。


そこで自前のブログの設置を試みるわけですが、既存の中ではワードプレスが多機能で柔軟性に富み、デザインもあらゆる試みが試されていてそれなりに新しい。
故に試してみる価値はあるということで、このプログラムが利用可能なサーバーに立ち上げて実際に使ってみたわけです。
そこで分ったことは次のとおり。

  1. インストールは簡単ではあるが、カスタマイズにはそれなりにHTMLやCSSのスキルが必要。

  2. 多機能であり、さまざまなプラグインの追加でかなりのことができるが、そこまでの機能は必要ではない。

  3. 常にセキュリティーに気を使う必要があり、手のかかる赤ん坊を背負ったような感じになる。

  4. ゴミくずのようなファイルがどんどん溜まってしまい、サーバースペースを不必要なもので埋めてしまう。

  5. 閲覧者にも不必要なトラフィックを強いてしまう恐れがある。

  6. データベースを使う必要があり、壊れた時の復旧がかなり難しい。

  7. 動作が重く、閲覧者にも失礼になるし、第一自分が書き込むのにもいちいち敷居が高い。

  8. 引越ししたくなった場合の困難さは言うに及ばず。


などなど、ちょっとコンビニで買い物したいだけなのに、そこに重戦車に乗っていくようなもので、自転車でも十分な場合が多い。




いずれにしても、今のホームページのスタイルはエンジニアの自己満足的な要素が多々あり、都合が良いように線路を引かれてユーザーは黙ってそこに乗って走るしかない状態になっています。
そもそも、自由なデザインによる個性は発揮しにくく、それをおこなうためにはプログラマーになれるくらいにコンピュータ言語に詳しくならなければ難しいでしょう。
ローカルで、自由にデザインできたものがそのまま反映できる方が圧倒的にユーザーにとっては敷居が低いはずです。
実際にそのように表示されるか? やってみなければわからないのでは、だんだんデザイン的な欲求を諦めてしまうでしょう。


というわけで、固定的でも十分なコンテンツの展示ができるスタイルを中心として、アクティブな要素が必要になるなら、CGIによる掲示板スタイルの、旧来からあるものでも十分にこの世界が楽しめるだろうという結論です。


しかし、広告を貼ると表示が遅くなってしまうのがどうにかならないものかと・・・。
このページのコンテンツ
2019.03.01
MIDI Classicsは、クラシック音楽をMIDIでも楽しめる様に立ち上げたサイトで、当時としてはインターネットの中ではそれなりに楽しめたMIDIによる演奏の展示を中心にした、名曲アルバムの様にしたいと考えて、ギャラリーとして始めたものです。
やがて、素材としての利用の希望に沿う形でダウンロードして他サイトでもBGMとしての利用を可能にしたページを設け、その後、携帯電話の着信メロディーにオルゴールの音色が優しかったので、各携帯電話会社のファイル形式に合わせて変換して作ったものを公開してきたりもしました。
単にこれらは、インターネットの世界が楽しいものであってほしいのと言う願望から沸き起こってきた情熱に押されてのものです。

時代は流れ、今では動画すらも手軽に見ることができてしまうまでになりました。
音楽も本物がどんどん溢れて、おもちゃであるMIDIなど誰も相手にしなくなった感があります。
しかし、果たして捨ててしまっても惜しげがないか?改めて考えた場合、まだまだ可能性があるのではないか?と思い直す事にしました。
それは、高音質なソフトウェア音源の登場と低価格化により、本物とよい勝負ができそうなところまで来ていることと、今更互換性を考えてMIDIの規格の制約に囚われずに、音声データとして発信できる環境が整ったことに起因しています。

「自分の気に入った演奏や録音物の確保」
「著作権の全てが自分で所有できる喜び」
「データとしては副次的な可能性の保有」

これらの具体的な目的を刻むためのコンテンツの発信の場、それこそがこのページの目的になってきた訳です。
これまでは、MIDIデータを作ってみようかと言う、いわば「好き者」のための情報源として、ややマニアックな内容だけでしか成り立たないページでしたが、これからは動画を交えて、コンピュータで音楽を作る喜びと苦労を、備忘録としても刻んでみたいと思います。

【音景色】のネーミングの由来
元々、写真や映像の収録をしていて、音楽との親和性のあるものを探したりしているのですが、自分で音楽を作る苦労や経験を刻む場所に、音が作り出すものが景色として見えたりすることになぞられて、この場所の名前にすることを思いついたわけです。これはこのページの元の形としてスタートした、2001年頃の事でした。
はじめに・・・MIDIの基礎
2019.03.01

MIDIとは・・・


MIDIとは「ミュージカル インストゥルメンツ デジタル インターフェイス」の略で、
電子楽器間での信号のやり取りを定めた言語の一種です。

様々な電子楽器間で共通のルールに従ったデータを供給することで、あらゆる発音音源で互換性のある演奏をすることを目的に作られたフォーマットです。
これに従って楽曲のデータを入力したものは、互換性の高いMIDIデータとすることができます。
こうして作られたデータを書き込んだものがMIDIファイルです。

歴史


エレクトーンなどの電子楽器を複数台同時に演奏させたい・・・
この願いをかなえるべく、電子楽器間に信号を送る方法が発明されてきました。
しかし、その情報がメーカー間でばらばらであったため、たとえばピアノで演奏したいと思って送った信号がまったく違った楽器の音になってしまうことがありました。 こうした中、開発各社が寄り合って、互換性のある信号形態の規格をまとめました。これがGMなどのMIDIの始まりです。
当初、MIDIを再生する楽器は、エレクトーンや電子ピアノなどでした。 これらを複数台接続して、コンピューターから信号を送り、同時に複数の楽器を演奏させることをができるようになったのです。 それまで、複数の楽器を演奏するには演奏者が楽器分必要でしたので大人数になり、かなり大変な作業となっていたはずです。それが一人でも演奏可能になったわけで、画期的なことでした。
だんだんと高度になってくると、一つの楽器の中に含まれる音色数が飛躍的に増え、シークェンサーと呼ばれる、MIDI打ち込みと信号の送出を行うソフトから、MIDI信号を送るだけで、相当数の楽器の演奏をできるようになったわけです。 それらの代表的な存在として、Roland社のSCシリーズ、YAMAHA社のMUシリーズなど、外部音源と呼ばれる小さな箱にたくさんのインストゥルメント(音色)が入ったものの利用が主流になった時期があったわけです。(外部ハードウェア音源)
これらは、単独で演奏できるため、様々な利用が可能で、コンピューターの負担も少なかったために非常に重宝なものでした。
通常16チャンネル分の楽器演奏ができ、それ以上を拡張することで、非常に大きな演奏形態を実現してきました。 そして、よりリアリティーのある音色が取り入れられることによって、よりリアルな演奏が可能になってきました。 まさにフルオーケストラの楽曲の演奏が可能になったわけです。

時代がだんだんと降りてくると、コンピューター自体の性能が飛躍的に向上して、非常に高音質なソフトウェア音源がもてはやされるようになり、外部音源は姿を消しつつあります。
こうすることで、さまざまな作者が自由に音源を作れるようになり、非常に優れた音源が多種多様に利用できるようになってきたわけです。
ただし、これらのソフトウェア音源は、MIDIの信号を利用してはいますが、それぞれが独自の発展をしていることが多いために、互換性がほとんど期待できません。 近年のネット速度の飛躍的な向上で、音声信号がそのまま流せるようになり、MP3などでのやり取りに不自由がなくなったこともあって、音楽への利用は、もはやMIDIの規格のその一部分を利用するにとどまってきた観があります。

今では、このMIDIの規格が様々に応用され、照明などのコントロールに使われているのを見ることも多くなりました。 時間軸に沿った信号の送出を利用しているものにすべて可能性があるのでしょう。
この他音楽利用では、ポータブルなキーボードにも広く応用され、少人数でも大規模な演奏を行うことが可能になりました。


2011年11月記述

GM・GS・XG って何?・・・


当初はMIDIの規格は範囲の狭いものでした。 だんだんと最初のものだけでは物足らなくなってきて、演奏の細かな規則をも規格に入れる必要に迫られてきました。
そこで、GM規格を新たに設けたわけです。 ただし、この規格でもまだ十分ではなかったので、電子楽器製作会社は、この規格を踏まえたうえに、さらに高度なMIDIの規格に拡張していきました。 これがGSやXGといった規格です。GSはRoland社が、XGはYAMAHA社が開発した規格です。
これによって、より多くの音色が使えるようになるなど、演奏の質が飛躍的に向上するようになりました。 ただ、これらは一応ある程度の互換性を持ってはいますが、これらの規格の良さを生かして作られたデータは、他の規格で再生された場合、本来意図された演奏とは違ったものになるということになってしまうという、互換性の問題がでてきました。

MIDIの規格に関しては・・・社団法人音楽電子事業協会


VSTi, DXiって何?・・・ ソフトウェア音源について


コンピューターがまだそれほど強力なものではなかった頃には、外部音源を使うことで高音質な演奏を期待してきました。 これらの音源の中身にはたくさんのサンプリングされた音色が入っていて、それらを利用してきたわけです。 これら外部音源の特徴は、動作の安定性の高さと互換性の高さにあります。 ただし、利用できるインストゥルメントに関しては、プリセットされたものの他には使うことができないのがほとんどです。 それだけでは物足りなくなってきました。 また、コンピューターの性能が飛躍的に高まり、コンピューター自身がインストゥルメントを取り込んで演奏できるようになり、コンピューターにソフトウェアサンプラーをインストールすることで、非常に多くのバラエティーに富んだ音色を使うことができるようになったのです。

VSTとは、ヴァーチャル・スタジオ・テクノロジーの略で、スタインバーグ社が開発した規格です。
この規格はオープンにされて、非常に多くの開発メーカーがこれを取り入れました。その結果、ほとんどのシークェンサーなどのソフトウェアでこれを使えるようになりました。 このテクノロジーは、ソフトウェアのエフェクターをはじめ、スタジオで行われてきたあらゆるテクニックを1台のコンピューターでも実行することができるというものです。

そして、ソフトウェアとしてコンピューターにインストールすることで、演奏できる(発音できる)音源(インストゥルメント)を構築することができ、その元になるものが、これらVSTiやDXiといったものです。(i はインストゥルメントの略)


MIDIデータの中身は・・・


データの中身には演奏情報信号が入っています。
音の強さ、長さ、高さ、音色・・・
それらを選ばれたトラック、チャンネルに配置する情報・・・
それぞれのチャンネルに与えられるボリューム、パン、リヴァーヴ、コーラスなど・・・
音楽表現を豊かにするエクスプレッション、ヴィヴラートなど・・・
そしてテンポ情報や特殊な設定情報など、
これらが時間軸にしたがって再生装置に送られる仕組みになっています。

MIDIファイルの特徴


長所

  1. このフォーマットに対応できる多くの再生環境を持つ。

  2. ファイルの内容は演奏データのみとなるので、サイズが極めて小さい。

  3. ネット上に公開されているファイルが多いので気楽にたくさん聴ける。


短所

  1. 演奏する再生装置によって再生音が大きく変わってしまう。


演奏する音色そのものは、演奏する機械によるので、様々な音色になります。
現在では多くのコンピューターがこの音色を持っています。 演奏するためのソフトウェアも無料で手に入れられたり、その中に音色が含まれていて、その音を使ったりで、再生はできますが、それらの音色のクォリティーはまちまちで、音質差が激しいことになります。

互換性のあるMIDIデータを作るうえで最低限しなければならないこと・・・


ソフトウェア音源が増えてきたとは言え、ホームページ上ではまだまだMIDIデーターがBGMとして利用されています。クイックタイムなどのプラグインで演奏される場合が多いと思いますが、そうした再生環境下では、一定の規定を満たさなければなりません。

最低限必要なこと


データを作るうえで最初にすることは、トラック、チャンネルを指定して、
インストゥルメントを決め、ボリュームやパンを決めることから始まります。

そして、GM以上の規格でのお約束事は・・・

  1. 最初の小節は再生音源の設定情報のため空白にすること。

  2. 頭に音源のリセット情報を入れること。


これが定められていますが、守られていないデータが意外に多いです。
再生環境によってはこれらができていなくてもあまり問題になりませんが、
音が出なかったり、再生に支障をきたすことがあります。

2.はシークェンサーで「システム・エクスクルーシヴ・データ」として打ち込みます。
もし、これが出来ないときには、少なくとも次のことはすべきです。

  • コントロールチェンジの11番「エクスプレッション」の数値を必ず入れる。

  • モデュレーション(1番)、ピッチホイール、ホールド(64番)などを0にする。


これらを入れることで最低限の再生はできるようになります。
(ボリュームなどは結構見やすい場所で設定できる場合が多いので、
0のままではないことが多いのですが、エクスプレッションが絞られたままでは
音が出なくなってしまいます。)
2019.03.01 15:17 | 固定リンク | MIDIの基礎
MIDIデータの中身
2019.03.01
MIDIデータを作る上で、必要となる情報を私なりにまとめてみました。

ここにあるものはGS音源用です。
主にSC-8850などの外部音源を主眼に置いています。
ソフトウェア音源は、ここにあることとは少し違ったことになっています。
MIDIを製作される時の参考になれば幸いです。

演奏にかかわるもの



  1. 音符の長さ(デュレーション)

  2. 音符の強さ(ヴェロシティ)

  3. 表情(エクスプレッション)

  4. テンポ(曲の速さ)

  5. ピッチ(音の高さ)

  6. ビブラート(音を振るわせる)

  7. ポルタメント(音をスライドさせる)

  8. 音色の調整

  9. 調律

    生演奏とMIDIの音場の違い。


    生演奏の収録ではひとつの空間に様々な楽器の音が混ざって
    様々に共振しています。 また収録時のマイクロホンにも色々な
    音が混ざりながら入ってきます。
    そしてそこに「位相差」が生まれ、これが空間を演出するひとつの効果を担っています。

    一方DTMでサンプリングされたものにはこれは一切ありません。

    DTMでの音場の最大の長所と欠点はこの部分で、
    さながらスタジオ録音で、完全に音響的に分離された部屋の
    マイクをミキシングすることに良く似ています。
    これはある面「純度の高い音」といえますが、
    クラシック特有の「アンビエント感」は出せません。
    そのままでは「ただ音がそこにある」という具合になります。


    リヴァーヴの効果


    そこで「リヴァーヴ」などのエフェクトを使って「擬似的に」音場を
    作ることを考えるわけです。
    プリセットされているリヴァーヴはホール系が2種類ですが、
    ホール1 は深めでしっとり系、 ホール2はやや乾いた感じです
    特に ホール1は擬似的に位相差を出すため、
    アンビエント感を作るには有効です。


    生演奏とMIDIの音色・音質の違い。


    生の楽器の発する音色はものすごく多岐に及んでいて、
    これによって音楽の感情を作るのに寄与しているのですが、
    これはDTMのサンプリングにとっては「癖」な部分になります。

    DTMで使うことが出来るようにするには、この「癖」を抜かないと
    たとえば長い音符を発音させるときにつなぎ目の処理が上手く
    出来なくなってしまいます。
    またアンサンブルさせたときに調和できないことが多くなります。
    数少ないサンプリングされたものから色々な長さの音符に対応し
    後から色々な表情付けを行おうとすると、サンプリングに加工を
    施して、「癖の無い」ものに仕上げていく必要があります。
    特に癖の出やすい「高音域」はかなりカットされてしまっていて、
    本来の楽器の音からは遠い音になってしまっています。
    (これは「倍音」のマッチングが上手くいかないことも原因です)

    これらの加工を施されたものは、色々な条件でも「無難」に
    演奏できるようになっています。
    が、その分表情に乏しくなってしまうのです。

    これらを解消できる技術の向上が望まれるわけです。


    総論


    DTMでの音色・音場は生楽器に比べて次の特徴があります。

    1. スタジオ録音の様に楽器間の音が混ざらない。

    2. 加工によって生の音より「暗い」感じになっている。


    これらの特徴を踏まえると、よりポイントが絞れてくるでしょう。

    DTMでの演奏は、各楽器の音の混合が起きないため
    事によっては生演奏よりもきれいな音がする場合も有ります。
    「生演奏になるべく迫るのか?」
    「DTM特有の長所を生かしてみるのか?」
    これはこれで色々な可能性がありそうです。


    ※これらは、ソフトウェア音源の場合かなり改善されてきています。

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